物理学科的な漸化式の解説(いわゆる「特性方程式」の意味)

高校生向け記事です.等比数列や数列の表し方(一般項)は知っている前提としていますが漸化式についての知識は一切仮定していません.初めから理解してa_{n+2}=5a_{n+1}-6a_n+2が解けるようになることを目標としたいと思います.

漸化式は解法暗記ゲーのように思われがちですが,一貫して重要な考え方があります.それは「重ね合わせ」です.数Bのベクトルで「一時独立」,数列の和で「差分」がキーだったのと同様です.

漸化式とは,例えば

a_{n+1}=3a_n

のように数列の前後の関係を決める式です.この場合,一つ後ろの項が3倍になっているような数列です.このような数列は

2,6,18,\ldots\frac{1}{3},1,3,\ldots

などがあります.このように,漸化式は前後関係を規定しているだけなので漸化式だけでは数列は定まりません.この漸化式の解は公比3の等比数列なので3の指数関数になっていればよく,

a_n=C\cdot 3^n

です.このように任意定数Cが入っています.任意定数というのはa_n=5\cdot3^nでもa_n=100\cdot3^nでもnによらない定数であれば解であるということです.

具体的に数列を定めるには初期条件を与えればよく,例えば,a_1=1と与えれば

1=C\cdot 3を解いて

a_n=3^{n-1}

と決まります(a_1である必要性はありませんが大抵の場合a_1が与えられます).任意定数Cが入ったような解を一般解と呼びます.任意定数が含まれていることで一般の初期条件に対して例外なく解になっています.ですので漸化式を解くには「漸化式を満たしていてかつ任意定数を含むようなもの」を考えます.

任意定数が含まれていない場合は特殊解と呼ばれます.今の漸化式の場合a_n=3^nは特殊解です.特殊解は特定の初期条件のときしか解になれないのでこう呼ばれます.この漸化式の場合,a_1=3の時のみの解ということです.

次に,漸化式

a_{n+1}=5a_n-8

を考えます.「漸化式を満たしていてかつ任意定数を含むようなもの」を求めたいわけですがひとまず特殊解を考えます.この漸化式の特殊解a_n=f(n)

f(n+1)=5f(n)-8

を満たします.ここでf(n)nの関数ですが,f(n)=\text{定数}=\alphaだとしても

\alpha=5\alpha-8

となる\alphaは存在します.この場合,f(n)=\alpha=2です.数列としては

2,2,2,2,\ldots

という解です.これは初期条件a_1=f(1)=2にしか使えない解であることに注意します.(この\alphaの一次方程式をチャート式などでは「特性方程式」と呼んでいますがこれを「特性方程式」と呼ぶのは混乱の元だと思います).

次に以下の漸化式を満たすようなb_nを考えます.

b_{n+1}=5b_n

これは等比数列なので同様にして一般解が求まります.これはn恒等式です.従って特殊解の等式の両辺に足すことができます.よって

b_{n+1}+\alpha=5(b_n+\alpha)-8

です.ここで,b_n+\alphaはまさに「漸化式を満たしていてかつ任意定数を含むようなもの」で,元々解きたかった漸化式の一般解になっていることが判ります.よって

a_n=C\cdot 5^n+2

と一般解が求まります.

一般に,

a_{n+1}=pa_n+q

についても

\alpha=p\alpha+q

を満たす特殊解\alpha

b_{n+1}=pb_n

を満たす一般解

b_n=C\cdot p^n

を足した

a_n=C\cdot p^n+\alpha

は一般解になっています.ここで注意して欲しいのは,\alphaとおけたのはたまたま今の場合,特殊解がf(n)=\text{定数}の形だからということです.数列を習いたての高校生はいきなりこの\alphaが出てきて混乱する人も多いようですが,「a_nを定数だとしてもどうせただの一次方程式が出てくるので必ずそのようなa_n=\alphaが存在する.だからa_n=a_{n+1}=\alphaと置いて構わない」ということです.

よくある「なぜa_n=a_{n+1}と置いていいのか?」への回答としては,「a_1=a_2=\cdots=a_n=a_{n+1}=a_{n+2}=\cdotsという特殊解を求める方程式だから」ということになります.

 

これを更に一般化した

a_{n+1}=pa_n+q(n)

についても(p=定数,q(n)=nの関数です)

f(n+1)=pf(n)+q(n)

を満たす特殊解f(n)

b_{n+1}=pb_n

を満たす一般解

b_n=C\cdot p^n

を足した

a_n=C\cdot p^n+f(n)

 が一般解として求まります.ですので,この手の漸化式は特殊解を上手く求められれば勝ちです.

では具体的に

a_{n+1}=2a_n+3n-3

を考えます.まず

f(n+1)=2f(n)+3n-3

を満たす特殊解f(n)を求めます.もしこれが求まれば

b_{n+1}=2b_n

の一般解b_nと合わせて

b_{n+1}+f(n+1)=2(b_n+f(n))+3n-3

が成り立つので,a_n=b_n+f(n)が一般解として求まります.

特殊解f(n)nの一次式になっていることが形から予測できます.

よって

\alpha n+\beta

と置いて

\alpha(n+1)+\beta=2(\alpha n+\beta)+3n-3

nについての恒等式なので整理して

 \alpha n +\alpha+\beta=(2 \alpha+3)n+2\beta-3

よって

\alpha=2\alpha+3 and  \alpha+\beta=2\beta-3

から\alpha=-3\beta=0

なのでf(n)=-3nなので,

a_n=C\cdot 2^n-3nと求まります.

 

次に

 a_{n+1}=3a_n+2^{n+1}

を考えます.例の如く,特殊解f(n)

 f(n+1)=3f(n)+2^{n+1}

を満たします.f(n)=\alpha\cdot2^nとすると

 \alpha\cdot2^{n+1}=3\alpha\cdot2^n+2^{n+1}

より

 2\alpha2^n=(3\alpha+2)2^n

なのでこれが全てのnについて成立するには

 2\alpha=3\alpha+2  i.e.,\alpha=-2

であればよいので,

f(n)=-2^{n+1}

で一般解はb_{n+1}=3b_nの一般解との重ね合わせで

 a_n=C\cdot3^n-2^{n+1}

です.

 

今までは二項間漸化式でしたが,次に三項間のものを考えます.

a_{n+2}=2a_{n+1}+3a_n

三項間の場合,初期条件は二つなので一般解の任意定数は二つです.

これの特殊解がa_n=f(n),g(n)の二つ見つかったとします.

このとき

f(n+2)=2f(n+1)+3f(n),

g(n+2)=2g(n+1)+3g(n)

ですが上の式にC,下の式にDを掛けて足したもの

C f(n+2)+D g(n+2)=2(C f(n+1)+D g(n+1))+3(C f(n)+D g(n))

も成立します.これをよく見ると,C f(n)+D g(n)は元の漸化式の解になっていることが判ります.f(n)g(n)の定数倍になっていなければ(もしなっていると二つの初期条件から解を決められない),一般解です.

では,そのようなf(n),g(n)をどう見つけるか.やや天下り的ですが,f(n)=r^nと置いてみます.すると

r^{n+2}=2r^{n+1}+3r^nr^nで割って

r^2-2r-3=0

 (r-3)(r+1)=0

 r=3\,\,\text{or}\,-1

なので一般解は

a_n=C\cdot3^n+D\cdot(-1)^n

と求まります(このrについての二次方程式を特製方程式と呼びます.先ほどの\alphaについての一次方程式とは明らかに意味が異なります).

この二次方程式が重解になる場合は詳しく書きません(今度追記するかもしれません).

 

では,目標と言っていた

a_{n+2}=5a_{n+1}-6a_n+2

を考えます.まず特殊解

f(n+2)=5f(n+1)-6f(n)+2

を考えます.f(n)=定数だとして見つかりそうなのでf(n)=\alphaと置いて

\alpha=5\alpha-6\alpha+2より

\alpha=1です.

b_{n+2}=5b_{n+1}-6b_n

とすると

b_{n+2}+\alpha=5(b_{n+1}+\alpha)-6(b_n+\alpha)+2

なのでa_n=b_n+\alphaとして一般解が求まります.

b_nr^2=5r-6r=2,3より

b_n=C\cdot 2^n+D\cdot3^n

なので

a_n=C\cdot 2^n+D\cdot3^n+1

が元の漸化式の一般解です.

 

追記:いきなり\alphaが出てきて引き算するパターン以外の解説を漁っていたら,数研出版の数研通信によい記事がありました.

数研通信:

編集部より【数学】 数研通信(最新号〜51号)

記事pdf:

https://www.chart.co.jp/subject/sugaku/suken_tsushin/63/63-9.pdf

 

https://www.chart.co.jp/subject/sugaku/suken_tsushin/73/73-9.pdf

 

部分分数分解は留数計算 

留数計算は大学で複素積分を勉強して知る概念ですが,ここでは大学の知識は一切使わない記事ですので,高校生にも(寧ろ高校生の方が)役に立つ記事になっていると思います.

 

部分分数分解とは例えば

\displaystyle \frac{1}{x(x+1)}=\frac{1}{x}-\frac{1}{x+1}

のようなものです.

教科書的な方法は

\displaystyle \frac{1}{x(x+1)}=\frac{a}{x}+\frac{b}{x+1}

と置いて右辺が

 \displaystyle\frac{(a+b)x+a}{x(x+1)}

となることから連立方程式

 a+b=1\,\,\text{and}\,\,a=1

a,bについて解くというものです.

しかし上の式をグッと睨めば

\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{1}{x(x+1)}x=a

\displaystyle\lim_{x\to-1}\frac{1}{x(x+1)}(x+1)=b

がすぐ判るので

\displaystyle a=\lim_{x\to0}\frac{1}{x(x+1)}x=\lim_{x\to0}\frac{1}{x+1}=1

\displaystyle b=\lim_{x\to-1}\frac{1}{x(x+1)}(x+1)=\lim_{x\to-1}\frac{1}{x}=-1

連立方程式を解かなくても簡単に判ります.

 

 

高校数学で出てくる数列の和で抑えておくべき点はたった一つ

家庭教師をしていて思った事です.

高校数学で登場する数列の和は全て

 \displaystyle \sum_{k=\alpha}^\beta b_{k+1}-b_k=b_{\alpha+1}-b_\alpha+b_{\alpha+2}-b_{\alpha+1}+\cdots + b_{\beta+1}-b_\beta

\therefore \displaystyle \sum_{k=\alpha}^\beta b_{k+1}-b_k= b_{\beta+1}-b_\alpha

の形に帰着させることができます.ですので,高校生に教える際はひとまずこの関係式を納得させることを目標にしています.

 

ysdphy.hatenablog.com

 でも触れましたが,この関係式は積分ではストークスの定理なので離散版ストークスの定理と呼ぶことにします.

これは直観的には,「どんなに歪な階段でも段差の和は一番上の高さから一番下の高さの差を取れば判る」ことと対応しています.普通の階段は段差が全て同じになっていますが,そうではない階段を想像してみてください.例えば,一段目と二段目の差が1cmで二段目と三段目の差が32cmで三段目と四段目の差が25cmとか.k段目とk+1段目の差の関数a_kの和はk段目の高さの関数b_kが判れば判ります.

つまり,和を知りたいa_nを何とかa_n=b_{n+1}-b_{n}の形に持ち込むのが基本方針です.

 

等差数列(一次関数)の場合は

\displaystyle \sum_k k = \sum_k \Bigl[\frac{1}{2}\{k(k+1)-(k-1)k\}\Bigr]

 なので

b_k=(k-1)kとおくと b_{k+1}-b_kの形が現れて,例えばk=1からk=nまでの和なら

 \displaystyle \sum_{k=1}^n k = \frac{1}{2}\sum_{k=1}^n\{k(k+1)-(k-1)k\}=\frac{1}{2}n(n+1)

で一般の等差数列a_n=Cn+D(C,Dは定数)の和も同様にして求まります.

 

等比数列(指数関数)の場合は

\displaystyle \sum_k r^k = \sum_k (r^{k+1}-r^k)/(r-1)

です. 

例えばk=1からk=nまでの和なら

 \displaystyle \sum_{k=1}^n r^k = (r^{n+1}-r)/(r-1)

で同様にして一般の等比数列a_n=Cr^nの和も求まります.

初めて〇〇したのは何歳の平均について

以前,疑問に思ったことがあります.それは初体験卒業年齢のデータで,未経験の人はどう処理されているのか?ということです.

例えば,30歳の人を対象に,アンケート調査をしたとして,彼ら彼女らのうち未経験の人が一割程度含まれるとすれば,それが反映されているのかということです.されていなければされるべきですよね.

 

一つの案としては逆数の平均をとって,再び逆数にすることです.この場合,未経験者は1/\infty,つまり0として処理します.このような平均を調和平均と呼ぶそうです.

mathtrain.jp

こちらのサイトによれば

\text{相加平均}\geq\text{相乗平均}\geq\text{調和平均}

なので,まあ,未経験者を考慮に入れて調和平均をとるというのは悪くないんじゃないでしょうか.

 

LaTeXの思想とBeamer

恐らく多くの学生にとって文書作成ソフトといえばWordです.他方で,数学・物理系や情報系の人間に馴染み深い文書作成ソフトが\LaTeXになります.

Wordと対比する形で書きましたが,WordはWYSIWYG(What you see is what you get)なのに対し,\LaTeXはWYSIWYM(What you see is what you mean)なので根本的に設計思想が異なります.\LaTeXの想定する文書作成のあり方は,内容にのみ集中して文を打ち込み(texファイルの編集),それを文書(pdf)に変換(コンパイル)すると,あら不思議,美しい文書が出来上がっているというものです.打ち込む段階でユーザーは文の意味づけ(マークアップ)を行います.例えば,それが脚注なら,\footnote{}と書いて{}の中に註の内容を記入します.あるいは,それが節の名前なら\section{}の{}の中に節の名前を記入します.数式の記述のし易さが\LaTeXの売りではありますが,必ずしもそれが本質ではなく,所謂人文系の人でも設計思想に共感できればWordより使い勝手が良いと思います.

以上の思想を\LaTeXの原理とするならば,\LaTeX編集中に見た目のことは極力意識すべきでないということになります.ですから,ここはボールドに,ここは太字に,ここはイタリックになどということを考えるのは駄目ですし,もちろん数式中でこの文字はもっと大きくというような小細工は避けたいです.反対に,そのような小細工をしたくなる場面ができるだけ減るように,自分で工夫すべきだという話になります.

さて,Beamerとは\LaTeXの文書クラスの一つで,プレゼンテーションに使うスライドが作れます.プレゼンテーションは見た目が重要です.ですので,原理に則って見た目を気にせず打ち込むだなんてことは普通はしませんし,できません.しかし,もし本当に内容のみに注力してファイル編集した後にコンパイルして,いい感じのきれいなプレゼンテーションスライドができたら素晴らしいですよね?それこそが正に\LaTeXユーザの理想のスライド作成です.実はいま,その理想に少しでも近づけるべく個人的にBeamerスタイルガイドのようなものを思い描いています.はっきり言って,Beamer(\LaTeX)は図の配置がしょぼすぎるのでそこは妥協しますが,Beamerでもいい感じに格好いいスライドが作れそうなので,下手にパワポで作るよりもセンスのいい(ように見える)スライドがちゃちゃっと作れるんじゃないかなと思います

 

1/(1+x^n)の0から∞までの積分

\displaystyle \int_0^\infty\frac{dx}{1+x^n}

を考えます.そのために以下のような径路での積分を考えます.

f:id:rikk_16_phy:20200811182949p:plain

径路

これを反時計回りに周回する径路を\Phiとし,原点から出発して真っ直ぐ z=R へ至る径路をA z = Rから原点中心の弧を描き z = R e^{2πi/n} へ至る径路を Cz = R e^{2πi/n} から真っ直ぐ原点へ至る径路を B とします.

複素数の範囲で

\displaystyle f(z):=\frac{1}{1+z^n}

として

\begin{aligned}
\oint_{\Phi} f(z) \mathrm{d} z &=\left(\int_{A}+\int_{B}+\int_{C}\right) f(z) \mathrm{d} z \\
&=\int_{0}^{R} f(x) \mathrm{d} x+\int_{B} f(z) \mathrm{d} z+\int_{C} f(z) \mathrm{d} z
\end{aligned}

第一項は実積分でこれをI(n,R)と書きます.f(z)特異点mを整数としてz=\exp[(2m+1)\pi i/n]でそのうち\Phiの内側にあるのはz=e^{\pi i/n}です.留数定理とロピタルの定理から

\begin{aligned}
\oint_{\Phi} f(z) \mathrm{d} z &=2 \pi i \operatorname{Res}\left[e^{\pi i / n} ; f\right] \\
&=\left.2 \pi i \frac{z-e^{\pi i / n}}{z^{n}+1}\right|_{z \rightarrow e^{\pi i / n}} \\
&=\left.2 \pi i \frac{1}{n z^{n-1}}\right|_{z \rightarrow e^{\pi i / n}} \\
&=\frac{2 \pi i}{n \exp \left(\frac{n-1}{n} \pi i\right)}
\end{aligned}

径路Bz(t)=te^{2\pi i/n}(0\leq t\leq R)とパラメタ表示でき,dz=e^{2\pi i/n}dt,z^n=t^n e^{2\pi i}より

\begin{aligned}
\int_{B} f(z) \mathrm{d} z &=\int_{R}^{0} \frac{1}{t^{n}+1} e^{2 \pi i / n} \mathrm{d} t \\
&=-e^{2 \pi i / n} I(n, R)
\end{aligned}

径路Cではz(t)=Re^{it}(0\leq t \leq 2\pi/n)|z|=Rに注意してn\geq2と十分大きなRに対して

\displaystyle \frac{1}{\left|z^{n}+1\right|} \leq \frac{M}{R^{2}}

となるMが存在します.絶対値を評価すると

\begin{aligned}
\left|\int_{C} \frac{\mathrm{d} z}{z^{n}+1}\right| &=\left|\int_{0}^{2 \pi / n} \frac{1}{z^{n}+1} i R \mathrm{d} t\right| \\
& \leq \int\left|\frac{1}{z^{n}+1}\right| R \mathrm{d} t \\
& \leq \int \frac{M}{R^{2}} R \mathrm{d} t \rightarrow 0 \quad(R \rightarrow \infty)
\end{aligned}

なので

\lim _{R \rightarrow \infty} \int_{C} f(z) \mathrm{d} z=0

です.求めたいのは

\displaystyle I(n):=I(n, \infty)=\int_{0}^{\infty} \frac{\mathrm{d} x}{x^{n}+1}

なのでR\to\inftyとして

\displaystyle \frac{2 \pi i}{n \exp \left(\frac{n-1}{n} \pi i\right)}=I(n)-e^{2 \pi i / n} I(n)

です.これを実数であることが露になる形に解きます.

\begin{aligned}
I(n) &=\frac{2 \pi i}{n}\left(e^{\frac{n-1}{n} \pi i}-e^{\frac{n+1}{n} \pi i}\right)^{-1} \\
&=\frac{2 \pi i}{n}\left(e^{\pi i}\left(e^{-\frac{\pi}{n} i}-e^{\frac{\pi}{n} i}\right)\right)^{-1} \\
&=-\frac{2 \pi i}{n} \frac{1}{2 \operatorname{Im}\left[e^{-\frac{\pi}{n}} i\right] i} \\
&=\frac{\pi}{n \operatorname{Im}\left[e^{\frac{\pi}{n} i}\right]} \\
\therefore I(n) &=\frac{\pi}{n \sin \left(\frac{\pi}{n}\right)} \in \mathbb{R}
\end{aligned}

となって求まりました.複素積分の威力がよくわかります(複素積分を使わずとも解く方法がありますが).