LaTeXの思想とBeamer
恐らく多くの学生にとって文書作成ソフトといえばWordです.他方で,数学・物理系や情報系の人間に馴染み深い文書作成ソフトがになります.
Wordと対比する形で書きましたが,WordはWYSIWYG(What you see is what you get)なのに対し,はWYSIWYM(What you see is what you mean)なので根本的に設計思想が異なります.の想定する文書作成のあり方は,内容にのみ集中して文を打ち込み(texファイルの編集),それを文書(pdf)に変換(コンパイル)すると,あら不思議,美しい文書が出来上がっているというものです.打ち込む段階でユーザーは文の意味づけ(マークアップ)を行います.例えば,それが脚注なら,\footnote{}と書いて{}の中に註の内容を記入します.あるいは,それが節の名前なら\section{}の{}の中に節の名前を記入します.数式の記述のし易さがの売りではありますが,必ずしもそれが本質ではなく,所謂人文系の人でも設計思想に共感できればWordより使い勝手が良いと思います.
以上の思想をの原理とするならば,編集中に見た目のことは極力意識すべきでないということになります.ですから,ここはボールドに,ここは太字に,ここはイタリックになどということを考えるのは駄目ですし,もちろん数式中でこの文字はもっと大きくというような小細工は避けたいです.反対に,そのような小細工をしたくなる場面ができるだけ減るように,自分で工夫すべきだという話になります.
さて,Beamerとはの文書クラスの一つで,プレゼンテーションに使うスライドが作れます.プレゼンテーションは見た目が重要です.ですので,原理に則って見た目を気にせず打ち込むだなんてことは普通はしませんし,できません.しかし,もし本当に内容のみに注力してファイル編集した後にコンパイルして,いい感じのきれいなプレゼンテーションスライドができたら素晴らしいですよね?それこそが正にユーザの理想のスライド作成です.実はいま,その理想に少しでも近づけるべく個人的にBeamerスタイルガイドのようなものを思い描いています.はっきり言って,Beamer()は図の配置がしょぼすぎるのでそこは妥協しますが,Beamerでもいい感じに格好いいスライドが作れそうなので,下手にパワポで作るよりもセンスのいい(ように見える)スライドがちゃちゃっと作れるんじゃないかなと思います