部分分数分解は留数計算 

留数計算は大学で複素積分を勉強して知る概念ですが,ここでは大学の知識は一切使わない記事ですので,高校生にも(寧ろ高校生の方が)役に立つ記事になっていると思います.

 

部分分数分解とは例えば

\displaystyle \frac{1}{x(x+1)}=\frac{1}{x}-\frac{1}{x+1}

のようなものです.

教科書的な方法は

\displaystyle \frac{1}{x(x+1)}=\frac{a}{x}+\frac{b}{x+1}

と置いて右辺が

 \displaystyle\frac{(a+b)x+a}{x(x+1)}

となることから連立方程式

 a+b=1\,\,\text{and}\,\,a=1

a,bについて解くというものです.

しかし上の式をグッと睨めば

\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{1}{x(x+1)}x=a

\displaystyle\lim_{x\to-1}\frac{1}{x(x+1)}(x+1)=b

がすぐ判るので

\displaystyle a=\lim_{x\to0}\frac{1}{x(x+1)}x=\lim_{x\to0}\frac{1}{x+1}=1

\displaystyle b=\lim_{x\to-1}\frac{1}{x(x+1)}(x+1)=\lim_{x\to-1}\frac{1}{x}=-1

連立方程式を解かなくても簡単に判ります.