高校数学で出てくる数列の和で抑えておくべき点はたった一つ

家庭教師をしていて思った事です.

高校数学で登場する数列の和は全て

 \displaystyle \sum_{k=\alpha}^\beta b_{k+1}-b_k=b_{\alpha+1}-b_\alpha+b_{\alpha+2}-b_{\alpha+1}+\cdots + b_{\beta+1}-b_\beta

\therefore \displaystyle \sum_{k=\alpha}^\beta b_{k+1}-b_k= b_{\beta+1}-b_\alpha

の形に帰着させることができます.ですので,高校生に教える際はひとまずこの関係式を納得させることを目標にしています.

 

ysdphy.hatenablog.com

 でも触れましたが,この関係式は積分ではストークスの定理なので離散版ストークスの定理と呼ぶことにします.

これは直観的には,「どんなに歪な階段でも段差の和は一番上の高さから一番下の高さの差を取れば判る」ことと対応しています.普通の階段は段差が全て同じになっていますが,そうではない階段を想像してみてください.例えば,一段目と二段目の差が1cmで二段目と三段目の差が32cmで三段目と四段目の差が25cmとか.k段目とk+1段目の差の関数a_kの和はk段目の高さの関数b_kが判れば判ります.

つまり,和を知りたいa_nを何とかa_n=b_{n+1}-b_{n}の形に持ち込むのが基本方針です.

 

等差数列(一次関数)の場合は

\displaystyle \sum_k k = \sum_k \Bigl[\frac{1}{2}\{k(k+1)-(k-1)k\}\Bigr]

 なので

b_k=(k-1)kとおくと b_{k+1}-b_kの形が現れて,例えばk=1からk=nまでの和なら

 \displaystyle \sum_{k=1}^n k = \frac{1}{2}\sum_{k=1}^n\{k(k+1)-(k-1)k\}=\frac{1}{2}n(n+1)

で一般の等差数列a_n=Cn+D(C,Dは定数)の和も同様にして求まります.

 

等比数列(指数関数)の場合は

\displaystyle \sum_k r^k = \sum_k (r^{k+1}-r^k)/(r-1)

です. 

例えばk=1からk=nまでの和なら

 \displaystyle \sum_{k=1}^n r^k = (r^{n+1}-r)/(r-1)

で同様にして一般の等比数列a_n=Cr^nの和も求まります.