コペルニクス原理とGottの推定

これは須藤靖「一般相対論入門[改訂版]」のp.120で知った話です.Wikipediaにも載っています.

ja.wikipedia.org

natureに掲載された論文

www.nature.com

が元ネタです.

あらゆるできごとの始まりの時刻をt_i,終わりの時刻をt_fとします.宇宙にはなんら特別な時刻はなく,我々の現在時刻t_0がこの間にあるときどこにあるかは同様に確からしい筈です(コペルニクス原理).

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このとき,できごとの始まりの時刻から現在までに経った時間をt_\text{past},現在からできごとの終わりの時刻をt_\text{future}とすると,

t_\text{past}=t_0-t_i,\quad t_\text{future}=t_f-t_0より

\displaystyle r:=\frac{t_0-t_i}{t_f-t_i}=\frac{t_\text{past}}{t_\text{past}+t_\text{future}}

rコペルニクス原理から0\leq r \leq 1の間の値を等確率にとります(一様乱数).よって例えば38/40=95%の確率で

\displaystyle \frac{1}{40}\leq\frac{t_\text{past}}{t_\text{past}+t_\text{future}}\leq\frac{39}{40}

すなわち,

\displaystyle \frac{t_\text{past}}{39}\leq t_\text{future} \leq 39 t_\text{past}

つまり傾向として,これまで長く続いてきたことは,これからも長く続くだろうということが,コペルニクス原理から導き出されたわけです.反対に,ぽっと出の事象は短命に終わる確率が高いということにもなります.